発達障害の可能性のある児童生徒等に対する
教科指導法研究事業

④算数・数学における「志導」に関する教授法(4)

★ 対象とした学習上のつまずくポイント4(C 図形)

 不器用さがあり、直線・三角形・四角形等の図形を描く際に形がいびつになってしまう(線が曲がる、角が丸くなる等)。筆圧が弱く、薄い線でしか図形を描くことができない。または、反対に強い筆圧でしか描くことができず、鉛筆の芯が折れたり紙が破れたりする。

★ 上記に対する取組内容4(C 図形)

 発達障害児やその疑いがある児童生徒の多くは、巧緻運動が不器用であることが多い。発達性協調運動障害等を合併する場合もあり、目と手の協応を苦手とする。こうした児童生徒の場合、描きやすい文房具の選定が重要である。描きやすい文房具の代表例は、国語の項で述べた、太軸の鉛筆やシャープペンシル等である。加えて、算数・数学では、定規(三角定規・分度器含む)、方眼用紙も重要である。定規は、視覚障害児者向けに、黒地に大きな白文字で刻印された三角定規や分度器(図11参照)が販売されている。さらに、定規の裏(紙と接する面)に、滑り止めを貼り付けると、不器用さがある児童生徒も正確に線分を描くことができる。加えて、厚手の紙で太いマス目の方眼用紙を用いると破れにくく、始点・終点を定位しやすくなるため、不器用さがある児童生徒の作図を支援することができる。

 また、iOS端末用プレゼンテーションアプリKeynoteを使い、方眼用紙タイプの背景に、幾何学模様のオブジェクトを配布していくと、不器用さによる線・角の乱れがなくなり、きれいに作図することができる(図12参照)。

図11 視覚障害者用定規の例
図12 Keynoteを使った作図