カーリーラボ(苅田研究室) 愛媛大学 教育学部 特別支援教育講座

防災教育に関するアンケート 集計結果

有効回答数:14.3%(128校)

在籍児童生徒数

50~99名が最も多く32.8%(41校)でした。

主に対象とする障害種

知的障害単一の場合が最も多く43.8%(56校)でした。
次に,複数の障害を対象としている総合支援学校が26.6%(34校)でした。

平成25年度における避難訓練の実施総数

平成25年度までの,避難訓練の実施経験の有無については,98.4%の学校が,全校一斉の避難訓練を実施した経験があり,避難訓練の実施経験がないと回答した学校については,いずれも平成26年度からの新設校であるために回答できないという理由によるものでした。
避難訓練の実施総数はグラフの通りで,各学期に1回ずつの年間3回という回答が40.5%と最も多いとわかりました。

避難訓練における想定災害

避難訓練を実施している特別支援学校において,避難訓練で想定している災害を,小学部,中学部,高等部に分類して集計した結果をグラフに示しています。
いずれも複数回答があり,「想定していない」という回答についてはその学校に該当学部を設置していないということを意味しています。
集計結果から,全ての学部において,地震と火災を想定した避難訓練を実施している学校が多いとわかります。
一方で,地震に伴って発生する可能性のある,津波や洪水を想定している学校は一部であるということが示唆されました。その理由については学校が高台にあるために津波を想定していなかったり,洪水が発生するのは稀であるため避難訓練は行っていなかったりと,地理的特性による理由が述べられていました。
津波を避難訓練の対象としている学校では,その地域で発生が危惧されている大地震を想定し,津波対策に最も力を入れているという回答も多くありました。

ICT機器の,防災教育への活用

これまでの防災教育の中で使用している,または実際の災害発生時に使用予定であると回答した学校が73%(92校)でした。
タブレット端末等の多機能型ICT機器を活用している学校は15校であり,学校によって活用する障害支援機器に差があることが示唆されました。

災害時における,学校の避難所としての活用への対策案について(25項目)

因子分析により3因子を抽出した結果,独立変数(児童生徒数,障害種,避難訓練の実施,ICT機器の活用)による有意差は認められませんでした。
避難所としての学校の役割に関して,特別支援学校教員にとっての印象を把握することができたため,結果を報告します。
5件法により,中央値・最頻値ともに「賛成」であったのは以下の11項目でした。

  • 一般の避難者が入れない場所を作る。
  • 少人数や児童生徒の家族のみで使用できる部屋を設ける。
  • 動線を確保するために、人々のスペースと通路を指定する。
  • 医師に来てもらう。
  • 常備薬を蓄えておく。
  • 偏食のある児童生徒が飲食できるものを蓄えておく。
  • 感覚過敏のある児童生徒が着用することのできる衣類を置いておく。
  • 遊んだり体を動かしたりできるスペースを設ける
  • 災害時や避難生活時に保護者が一緒でない場合のために、常備薬やこだわり等の情報が書かれたものを保管しておく。
  • 清潔なケアルームを確保する。
  • 空気清浄機を設置する。

これらの項目は,備蓄に関する因子が多く含まれており,多くの学校で現実的に可能であるという印象であったことが示唆されました。

一方で,中央値・最頻値ともに「どちらともいえない」であったものは以下の3項目であり,3因子のいずれにも含まれず,学校によって意見が分かれやすい項目であるとわかりました。

  • 一般の住民とは分けて、福祉避難所を設置する
  • 防災教育の中で、避難生活体験を児童生徒と家族、地域住民と一緒に行う。
  • トラウマになることを避けるため、TVやラジオ等の災害の様子が繰り返し放送されるものを置かない。
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